今回の移住者に聞いてみたでは、宮崎県児湯郡新富町(こゆぐんしんとみちょう)在住の二川智南美(ふたがわちなみ)さんにお話を伺いました。
20代後半に差しかかり将来を考えた二川さんは、偶然と直感、そして行動力を基にして移住を決断しました。移住を視野に入れながらも移住地に迷っている人へ、一歩を踏み出すヒントがあります。
地域の魅力を再発見する広報誌をつくる
ー現在のお仕事について教えてください。
地域おこし協力隊として新富町役場の総務課に所属し、広報誌『広報しんとみ』の制作に関わる業務全般を担っています。企画構成から、取材、編集、ライティング、写真撮影、誌面のデザインまで、幅広い業務を担当しています。
ーいつから広報誌のお仕事をされているのですか?
移住後の2019年9月からです。外からの目線で地域に埋もれた魅力を引き出したり、地域で頑張る人々とその背景にある気持ちを伝えたり、新富町の魅力が伝わるように日々改良を重ねています。この仕事は、掲載される側と読者の両者の反応を身近に感じられるので、とてもやりがいがあります。仕事を始めてから1年半以上経ちましたが、新富町は伝えたい魅力が尽きません。
1本の映画が気付かせてくれた移住への本当の気持ち
ー地域愛を持って仕事をされていますが、以前はどのような仕事をされていたのですか?
東京の編集プロダクションで5年半編集者として働いていました。ライターやデザイナーへのディレクションを中心に、企画構成やライティングの経験があり、その経験が今の仕事に活きていると感じます。ただ、勤務が終電まで続くことも多く、体力面や精神面で将来を不安に感じることもありました。
ー移住を考えるきっかけがあれば教えてください。
あるとき、旅行先で「おだやかな革命」という映画を観たことです。地域のために地道に努力を重ねる人の姿に魅せられ、「地域で頑張る人や地域の魅力を盛り立てたい!」と移住への決意が固まりました。
ー映画の他にも移住を検討する理由はありましたか?
はい。まず、20代後半になり将来の働き方や住む場所について考え始めました。都会で身を粉にして働き続けることへの不安と、自分が育った群馬県の田舎のように、自然のある場所で子育てをしたい気持ちがありました。また、大学で俳句を専攻していたこともあり、「季節の移ろい」を感じられる場所で生活したかったことも理由のひとつです。
経験に裏付けられた直感が導いた移住
ー何がきっかけで新富町への移住につながったのですか?
映画をみた後、偶然友人から誘われた『南九州移住ドラフト会議』への参加が契機になりました。移住を検討し始めたものの、移住地は模索状態。これまでに縁のない場所との出会いを望んでいた自分にとっては助かりました。
ー「南九州移住ドラフト会議」では何があったのですか?
面談や自己PRを経て、球団の新富町(『地域商社こゆ財団』)から1位指名をいただきました。新富町の人とは本指名の直前にある交流会で意気投合したものの、当時は新富町の場所も知りませんでした。そもそも移住先を決めるというよりも、移住に向けた第一歩として、地域の人物と関わるために参加したので・・・。
ードラフト会議が新富町への移住の決定打だったのですか?
いえ、指名後に10日間ほど新富町を含めた宮崎の地域を巡った旅行が決め手でした。旅好きで国内各地を訪れていたなか、直感的に住んでみたいと思ったのは新富町が初めてだったんです。新富町では、『地域商社こゆ財団』のはからいで地域課題を解決するワークショップに参加し、観光資源や人の話を聞く機会がありました。そこで、新富町の新しい風を受け入れる姿勢と地域の魅力を体感し、すっかり新富町の虜になってしまいました。
ー新富町には、二川さんが移住先に求める環境が備わっていたのですね。
そうですね。私は、出身地と似た人口2万人前後の規模感に惹かれました。地元とよく似た場所で、育った経験から移住後の生活がリアルに想像できたことが「住みたい」につながったと思います。
後悔しないためには行動が大事
ー新富町の魅力を教えてください。
まずは、日本有数の農業地域で野菜が美味しいことですね。また、神楽や神話といった伝統があるほか、ウミガメが産卵にくる豊かな砂浜もあります。航空自衛隊の基地がある背景から外部者を寛容に受け入れる土壌と、伝統を守りつつ時代に応じた変化に挑戦できる風土も魅力です。地方ですが、都心から遅れているような感覚もありません。
ーその当時付き合いたてだった彼氏さんと一緒に移住したと聞きました。どのように説得されましたか?
彼との交際はドラフト会議で本指名を受ける1週間前から。初デートが新富町だったんですが、そこで私の移住の意思が固まってしまったので、移住をしたい気持ちと新富町の魅力を伝えて説得を繰り返し、二人で移住しようという結論に至りました。いつかは地方で暮らしたいと考えていた彼でしたが、本人も想定より早い移住になったようです。
ー移住して実現できたことはありますか?
仕事は忙しいものの日が明るいうちに帰宅でき、ライフワークバランスも保てるようになりました。距離感が良く、知らない人ともすぐに会話が生まれます。建物で遮られない空や季節の移ろいを感じられる自然、都市部にすぐ出られる立地にも満足しています。
ー仕事もプライベートも好調ですね。逆に困ったことはありますか?
交通アクセスが良くないので、実家に帰るのが大変なことぐらいです。とはいえ、東京ではできないこと(きゅうり収穫など)を体験できる環境があるため、日々充実していますよ。
ーありがとうございます。移住を検討している人へのメッセージをお願いします。
移住をするときは、実際の暮らしを事前に感じてみることが重要です。気になる土地へ行く、その土地の中心人物を探すなど、まずは行動しましょう。後悔しない移住をするためには、移住後の生活をつかむことが大切。自分の譲れないものは何かなども考えて、後悔しない移住を実現させてくださいね。
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インタビュー:ぱーこ
文:矢井田千秋
編集:西本友